韓国渓流デビュー(강원도) 日時: 2012年 5月1日(火曜日)
今回は渓流釣りに久々に行って来ました。 二十数年ぶりの渓流で気持ちの良い一日を過ごすことができました。 実は2010年のウォンバット氏の東海渓流釣行記がずっと気になっていたのでした。 私は韓国に来てから本格的にブラックバスのルアー釣りを始めたのですが、ルアーは中高生の頃に やったことがありました。元々は祖父と親父の影響で鮎の毛針釣りや友釣りを小学生の頃からして いたのですが、たまに親父と上流域へ行ったときに毛針にヤマメが掛かるので、鮎釣りの合間にルアー でヤマメを狙ったのが始まりでした。1シーズンに2~3回しか行けなかったですが、渓流釣りの面白さ をその頃に覚えたのでしょうね。途中からはフライにも挑戦しましたが。 中高生の頃のお小遣いでは大したタックルも準備できず、数千円程度の道具と数個のルアーで なんとかしていたことを思い出します。それでも、尺上を何度か釣ったことはあるので、まだ豊かな状態 だったと思います。現在では、尺上なんて年に一度も出会えないことの方が多いと地元の友人が 言っていました。そして、大半は放流物で天然物はもちろん、天然物の血統でさえ残っていないよう です。天然物は人が入れない所の一部にわずかに残っていると噂では聞きますが。それでも、25cm 位までの銀毛ヤマメは今でもゴールデンウィーク前後に一斉に海に向かい、結構釣れるらしいです。 この銀毛ヤマメは数年後、サクラマスとなって戻ってきて、それはそれで楽しませてくれるそうです。 (ちなみに、富山のます寿司はサクラマスですよ。現在の物はすべて養殖物で天然物に比べて脂が 乗って美味しいです。天然物のサクラマスは遡上前の近海で取れた物でないとそれほど美味しいわけ ではありません。) 随分前置きが長くなってしまいましたが、それだけ、渓流釣りには思い入れがあるということに今回 気付きました。韓国での渓流釣りは初めてでしたので、韓国在住計30年、韓国渓流ルアー歴 10年の大先輩のK田氏に一緒に行って頂きました。(釣りクラブの会員では無いので、K田氏と お呼びします。)ウッドチャックさんとそのフライの師匠のS手氏と一緒に管釣りに行ったときに、私が 渓流にも行ってみたいと言ったところ、同じスプーン使いで韓国の渓流に詳しいK田氏を紹介して 頂いたのでした。 イチョンドンを5:30に出発、既に気温は18℃を超え、5月になったばかりだというのに、かなり暑く なるような予感。5/1は韓国でも勤労者の日ということで、大企業などは休日になっています。土日 よりは高速道路が混まないだろうと予想してこの日にしたのでした。予想通りカンウォンドの現地まで 約160kmの行程を約2時間で到着、7時半には準備開始して、川へ降り立ちました。気温は 既に23℃。暑い。 最初のポイントはK田氏が一番自信のあるポイントらしく、まずは私に1匹なんとか釣らせたいと 連れて来て頂いた所です。このポイントで一昨年、K田氏は自己記録48cmの小口マス(韓国名 :열목어;ヨルモゴ)を釣ったそうです(ちなみに쏘가리;ソガリの記録は47cmだそうです)。これ まで、このポイントで釣れなかったことは無いそうです。 K田氏は始めて3投目で約25cmのヨルモゴをスプーンで釣り上げ、私には期待とプレッシャーが 掛かります。私は最初ミノーで始めたのですが、これがなかなか思い通りのポイントを通すことが出来 ずに、何度も何度もキャストをやり直していたのでした。正直、渓流のトレースラインの感覚をすっかり 忘れていました。こんなに叩けばいくら魚がいてもダメですね。 ミノーへの反応が全く無く、いろいろ試行錯誤しながら次にスプーンを試してやっと小さいバイトが あったのですが、フックアップしませんでした。そのスプーンへの反応もすぐに無くなり、スピナーに変えた 1投目に待望のフックアップに成功。魚が首を振るたびに1/4~1/3テンションに設定してあるドラック が軽く鳴ります。通常、このドラックテンションでは、40cm以上かつ太ったニジマス(管釣り)のときだけ 鳴ります。さすが、ネイティブは引きが強い。慎重にテンションを抜かずに上がってきたのは、30.5cm (尺上)のヨルモゴでした。春らしく丸々太った良い魚でした。引き味はヤマメではなく、イワナに近い 感じでした。 K田氏は、私が1匹釣れて、ほっとしてくれたようです。これで心配が無くなったのか、K田氏は テンポ良く、足早にポイントを探りながら移動していきます。とても、70歳とは思えない足取りです。 私の方は昔の感覚で魚のいそうなポイントは解るのですが、上手くそこにルアーを通すことができずに 苦労していました。結局、私一人そのポイントに残り、40分くらいキャストとトレースラインの感覚を 修正していました。その間に、K田氏は他のめぼしいポイントをすべて探ったようです。しかし、思い の外、反応は渋くて最初の場所では、それぞれ一匹ずつの釣果でした。 今回行った川はヤマメはおらず、ヨルモゴのポイントだと言うことでした。そして、川は渓流というよりは 少し開けた中流域といった感じです。地方の村を流れる里川という感じでしょうか。そして天候にも 恵まれ非常に気持ちの良い所でした。もう、ずっと忘れていた感覚です。この川には本当の渓流域や 源流域もあるのですが、かなり北側に近い所になるようで近づけないとのことでした。 私の渓流釣りの経験では、延々歩いて沢を登っていくのですが、今回は比較的開けた中流域に 近いところでしたので、ポイントとポイントの間隔が広くて歩くと大変なので、車でのランガンになりました。 だいたい、こんな感じでポイントを渡り歩き、数は出ませんでしたが、私は午前中に4匹連続で尺上 (30.5、31、32、30.5cm)を釣り上げることができました。いくら尺上を釣ったことがあると言っても、 1日に4匹も釣ったのは初めてです。しかも、韓国ではニジマス以外の養殖は出来ていないので、 釣れたヨルモゴはすべて天然物の純血種です。まだ、残っているのですね。当然、これらの魚はすべて 写真に納めた後、リリースして元気に流れに戻っていきました。 それでも、K田氏によると年々魚はスレてきているそうです。韓国でも渓流のフライ、ルアーが徐々に 流行だしています。土日にくれば、複数の釣り人に会うそうです。今回は、現地の釣り人(ルアー釣り) に一人だけ会いました。タックルやキャスティングを見ているとまだレベルはたいしたことはないようですが。 また、韓国には河川の漁業協同組合は無く、禁漁期間の設定も実は無いようです。フライ、ルアーの 釣り人が自主的に産卵期を含む冬~早春(4月末まで)を禁漁期間にしていると聞きました。そして、 魚たちにとっての一番の天敵は地元の人のようです。投網で一網打尽に取ってしまうと聞きます。今回 も一見、非常に良い支流やポイントでも全くダメな場合がありました。少し心配ではあります。 お昼は近くの集落のシクタン(食堂)で軽く済ませ、14時過ぎから午後の後半戦に突入。ここで、 いきなり大苦戦してしまいました。本流から外れた流れの川岸にブッシュがありブッシュと水面との間が 30cmほどだけ空いているオーバーハングポイントを発見。奥行きは1.5m位あります。しばらく観察 していると魚の陰も結構見つけることができました。まさに、絶好のポイント。慎重に下流側から順に 攻めていこうとしたのですが、キャスティングがダメでした。ここだけで、6個のルアーをロスト。あまりの 自分のキャスティングの下手さに情けなくなります。ここでは、結局魚を散らしただけ。一発で奥の奥へ ダイレクトかスキッピングで30cmの隙間に入れなければ、釣れないポイントでした。まさに、釣り人の 技量次第です。今回は完封負け。次回何とかしたいです。 結局、夕方まであちこち回って、私はトータル7匹(尺上は午前中の4匹だけ、最小でも20cm)、 K田氏は尺上を2匹含む10匹でした。今回はK田氏に大変お世話になり、また、親切にご指導 して頂きました。そして、実際に韓国の渓流を体験することで、いろいろな情報も得ることができました。 何れ近いうちに自分で渓流を開拓して行きたいと考えております。ウォンバットさんの行かれた川もだい たい見当は付いています。そこへチャレンジしてみても面白いかもしれません。帰り道も渋滞無く、無事 に2時間で帰って来ることができました。高速道路は非常に走りやすくなっており、特別な渋滞が無い 限り、快適なドライブになります。 おしまい。 Copyright(C) 2010 Seoul Tsuri Club All rights reserved |