第7回釣行記 by ほの字




日時:9月3日(土)

参加者:二流三、ほの字、ビギ、崔さん、金さん

− 田口トモロヲ風に ―

男たちに一通のメールが届いた。
それを見て男たちはうなった。
「・・・今回も詳細がわからない。」と一人が言った。
そのメールには、ウロク、ヒラメ、それにクロダイを狙うがマダイは釣れない、磯用の靴が必要だが船にも乗る、虫除けスプレーを持参、そして軽い気持ちで行くのが大事とあった。ワケがわからなかった。
男たちは過去の釣行でも事前情報の少なさに散々苦労してきた。またしてもという思いが男たちの胸をよぎり、不安をあおった。
しかし、男たちの行動は早かった。一人は他の男と連れ立って早速磯竿を買いに走り、そして他の男は虫除けスプレーを確保し、これとトイレットペーパー1巻をそっと釣り用のバッグにしまった。
目的地までは3時間位掛かると思われていた。男たちは始めての道のりに不安を感じ、助っ人を頼んだ。金氏だった。
金氏は釣りが初めてだった。しかしそんな不安をよそに、夜2時前、男たちは二村洞を出発した。目的地はソサンだった。
そして着いた。小さな港であった。それにしても着くのも早かった。2時間しか、掛からなかった。男たちは空腹を覚えシクタンを探した。しかし、空いている店は一軒もなかった。


さらに、合流するはずの男がいなかった。男たちは無人のシクタンの、店の前においてあるイスに座り、ただじっとビールを飲んで待ち続けた。時折顔や手足を襲う蚊の攻撃にも虫除けスプレーでしのぎ、耐えた。




そして男が来た。チェ氏だった。男たちはすぐさま釣具屋に入り、チェ氏のいうとおりコマセを作り始めた。入れ物がないことに気づき速攻で買い求め、これを車に積んで船着場に向かった。




船を見て、また男たちは驚いた。小さい。手漕ぎボートを二回りほど大きくしただけの船だった。しかし男たちはひるまず、靴が濡れるのも気にせず乗り込んだ。どこに行くのだろう。男たちは沈没するかもしれない小船の船長に命を預けた。15分ほども走っただろうか。男たちの前に海から突き出た岩が現れた。灯台を守る女という意味の「ドクタンヨ」という島だった。




荷物を揚げ、島に乗り移った。そこは平らなところがほとんどない、岩ばかりの島だった。




朝飯を喰った。金パプだった。
開いているシクタンがなく、朝メシ抜きかと思っていた男たちはほっとした。
岩場を下り、仕掛けを準備して、それぞれが釣りを始めた。




潮は右から左へ流れていた。皆、コマセを撒き、ウキを流した。期待していた。
チェ氏が釣り上げる。だが小さい、ウロクかメバルの子供だろうか。すぐに放流した。






小物が続いた。時々20cmほどのノレミが来た。同じようなサバっ子も来た。
暑くなってきた。雨が降るかとさえ心配していた男たちは、日差しの強さに呻いた。真夏の日差しだった。小物ばかり、それもポツポツとしか釣れなかった。M氏は昨日買った竿の重さに苦しんだ。それはヒラマサもOKと思われる大物用の剛竿だった。


それは突然だった。T氏の竿が大きくしなった。上がってきたのは中型のヒラメだった。



オキアミ餌に食いついた小魚を狙ったのだろうか。やっと皆に笑顔が浮かんだ。
それまでイソメ餌でブッコミ釣りをしていた金氏の竿も大きく曲がった。ソフトルアーに替えた直後だった。金氏はあせった。思いのほか強い引きだった。チェ氏が助けに入る。
ようやく上がってきたのはT氏のより少し大きいヒラメだった。




この磯にはヒラメが居る。男たちはそう確信した。H氏はあることを考えた。H氏は持参したウロク用の釣り竿に糸を通し、そしてヒラメ用の仕掛けをその先に結んだ。そしてオキアミで釣れたサバっ子をヒラメ仕掛けの針に掛け、海に沈めた。
手にはサバっ子が泳いでいる感触が伝わってくる。が、すぐ、サバっ子にしては大き過ぎる魚信が来た。デカい。大きく合わせた。その日最大のヒラメだった。





午後4時。男たちの釣りは終わった。
来たときと同じ小船に乗り、ヒラメとノレミを手に船着場に戻った。








近くにあるポジャンマジャで刺身にしてもらい、外に置かれたテーブルで貝を焼き、ビールと焼酎を飲んだ。
浜を洗う波音が聞こえた。海風が男たちの頬を優しくなでた。高く澄んだ空が少し赤くなりかけていた。